海外移住と文化の交流センター
(旧国立移民収容所)
◎完成年 昭和3(1928)年
◎構造規模 RC造 地上5階
◎設計者 置塩 章
◎施工者 大林組
鉄筋コンクリート造5階、延べ面積3600u、600人を収容するこの建物は、当時の神戸としてはかなり巨大なものであったに違いないですが、すぐに手狭になり1930年(昭和5年)には北側に増築がなされています。
移民収容所の着工は1927年(昭和2年)9月19日、竣工が1928年(昭和3年)2月3日で、138日で完成しており、かなりの突貫工事であったことが伺えます。
移民は宿泊室で就寝するほか、収容所には食堂、医務室、浴場等の設備も整っており、ホールには映写設備までありました。当時の生活レベルと比較すると「さながら一大文化ホテルの観」(昭和3年2月3日付け神戸新聞)であったようです。
昭和3年といえば、神戸のビルディングの多くはまだクラシックな様式を身にまとっていた頃です。収容所は躯体から様式装飾が省略され、一見して垢あか抜けたモダンなデザインとなっています。しかし、官僚としての生活が長かった置塩章の作風を反映してか、少なからずクラシックな要素が随所にちりばめられています。
例えば、シンメトリーにこそなっていませんが玄関部分を中心として両翼が伸びる骨格、玄関ひさしを支えるオーダー、水平線を強調するパラペット部のコーニス、5階ホールのコーナーを飾るコーナーストーン、窓台や小庇等が挙げられます。
しかしながら、これらのディテールには大幅なデフォルメや簡略化が図られています。玄関を除いて柱の表現は無く、パラペット部の水平線などはもはやモールディングと呼べないまでに省略化されています。一方で、玄関のオーダーやホールのコーナーストーンは幾何学的にデフォルメされており、玄関上部を飾る2つの地球儀とともに、表現主義や当時欧米で流行していたアールデコの気配すら漂わせています。
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